top of page
akalavillage

「訪問看護で行う看取りの流れを解説します」



【在宅での看取りってどんな流れなの?】

病院では医師、看護師が複数名勤務しているため、患者さんのお看取りは不安なく実施できるかと思います。

訪問看護師は基本的に1人で実施します。

その中でもお看取りは、利用者さん・家族にとっても、また訪問看護師にとっても在宅医療の集大成と言えるものではないでしょうか。

今回は、訪問看護における看取りの流れをご紹介します。

自宅での看取りを経験されていない方、病院との違いを知りたい看護師さんはぜひ参考にしてください。


【看取りとは何か】

「看取りとは何か」ということに一言で答えることは困難かと思います。

「人生の最終段階に関わること」と定義し、説明いたします。



【基本的な態度】

人生の終末を迎える際には、過ごす場所や受ける医療などについて自由に選択できる環境が必要だと思います。終末期である利用者さんの意思と権利を最大限尊重し、本人の尊厳を保つとともに、安らかな死を迎えるための終末期医療を行うことを考えます。

例えば、自宅で最期を迎えようと考えていた利用者さんが、時間の経過とともに、施設での看取りを望まれたケースもあります。


【在宅における終末期の考え方/視点】

終末期は、個々の病態において様々な症状が出現します。かかりつけ医が状態や経過を観察し、一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者を終末期とします。


【在宅看取りの準備】

在宅看取りでは、利用者が長年過ごした自宅で主に家族が介護者になります。その介護者に見守られ死を迎えます。しかし、終末期の過程では「死をどのように受け止めたら良いのか」

本人も家族も初めてのことであるため戸惑い、迷います。

訪問看護師として、在宅での看取りの準備を項目別に考える必要があります。



1、意思決定支援

終末期に関して、認知症が進んだ方であっても、可能な限り本人の意思を確認することが大前提です。

意思表示ができる時期から、「終末期の限られた時間を、どこで、誰と、どのように過ごしたいか」希望を確認します。また、本人が意思表示出来なくなったときに、家族が代わって意思決定をするのかどうかも確認が必要です。終末期において確認すべきことは以下の通りです。

○口から食事を取れなくなった時の対応

・経管栄養

・中心静脈栄養

・抹消点滴

・自然に経過をみる

○呼吸や心臓が止まった場合

・救急蘇生

・自然に経過を見る


利用者さんの意思決定が変化することもあります。日々の体調に加え、意思の変化も、主治医やその他支援者に共有していく必要があります。



2、環境の整備

本人のA D Lの変化に合わせて、過ごしやすい環境を整えていく必要があります。また、突然の体調変化を予測し、予め制吐剤や下剤、疼痛時の処方など、症状に合わせた対処方法を利用者さん、医師と相談しておきます。



3、急変時の対応

本人の状態に変化があった場合は、オンコールで訪問看護師か医師に相談すべき内容かを予め検討しておきます。多くの場合は、訪問看護ステーションに連絡が入るので、その人の心身の状態を電話を通してアセスメントする能力も必要になります。





4、身体的な変化

死期が迫ると様々な症状が出現することを、利用者・ご家族は知りません。最大限の配慮を行いながら、起こり得る身体的な変化を利用者・ご家族にお伝えします。

① 血圧が徐々に低下し、血液循環が悪くなり、顔色が白っぽくなる

② 手足が冷たくなり、浮腫む。

③ 心臓の機能が弱くなり、脈が乱れたり、徐々に脈が触れにくくなる

④ 意識が低下し、排泄に気づかない場合がある。また、尿量が低下する。

⑤ 意識の低下に伴うせん妄が出現する場合がある

⑥ 下顎呼吸や無呼吸を伴う呼吸になると、数時間で呼吸が止まることが多い



5、最期の対応

ご家族が、利用者さんの呼吸状態が悪くなったと感じた際は、訪問看護師に連絡してもらいます。息を引き取った際に医師が不在の場合は、呼吸停止時間を記録しておきます。

医師が到着するまで時間がかかる場合は、ご家族の悲しみと不安を受け止め医師の到着を待ちます。

死亡確認した担当医指名と時間は、必ず記録します。



6、エンゼルケア

医師の死亡確認が行われた後で、ご家族が希望されれば、訪問看護師はエンゼルケアを行います。ご家族にご用意頂いたお召し物着替えとお化粧を一緒に行うこともあります。

ご家族とエンゼルケアを一緒に行いながら、利用者様との思い出や人柄を語り合い、ご家族の思いに共感することができます。



【まとめ】

今回は、訪問看護における看取りの流れを説明しました。

訪問看護ステーションの特徴により、看取りの件数に違いがあります。中々体験できずに焦るかもしれません。

終末期の利用者さんを積極的に担当し、経験を経ることで看取りにも自信を持って臨めるかと思います。




参考資料

1、「見取りに関する手引き 在宅版」


2、「看取り 参考資料」(厚生労働省)

https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000156003.pdf

閲覧数:0回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page